「スコール!お月見しよーぜ!!」
食堂のおばちゃんから貰ってきたというダンゴとパン。
ダンゴは分かるが・・・パン・・・?
まぁ、ゼルらしいといえばそうだな・・・。
「はっやく〜〜」
子供のように俺の腕を引っ張るゼルに俺は素直に従った。
「うわ、めちゃキレェ!」
空に浮かぶ、大きな満月。
ゼルはそれをしばらく見つめていた。
「・・・なぁ・・・月ってさ・・・お前に似てるよな」
「月が?ただの丸い石の塊だぞ?」
「って、ムードねぇな〜・・・なんつーのかな?雰囲気?一見めっちゃくちゃ冷たそうで、でも綺麗でさ。静かな迫力っての?お前そっくりじゃん」
確かに、ゼル以外にはそうかもしれないな。
でも、ゼルに言われるとは心外だ。
「俺は・・・冷たいか?」
「え、あ、わりぃ!そんな意味じゃないんだ!お前、全然印象と違ったしさ!」
「どういうふうに?」
逃がさないようにゼルの腕をつかんで、俺はゼルを見つめた。
ゼルはきっと真っ赤になって離せよって言うはずだ。
「や・・・・離せよ。スコール!」
ほらな。
俺も、分かっていながら可愛くて、ついついゼルを困らせてしまう。
「ゼル・・・言ってくれ」
「・・・お前・・・オレにだけ態度違うじゃん?それに気付いた時・・・なんか嬉しかった。オレの勘違いかもしれないけど、なんか特別みたいでさ・・・」
よかった。
ちゃんと気付いてたんだな。
ゼルの鈍さには時々、ついて行けない時があるから不安だったんだ。
「勘違いじゃないぞ・・・お前は特別だからな」
「!!・・・あ、あぁ・・・っそ、そうだ、ダンゴ食おうぜ!ダンゴ!!なっ!?」
さすがの鈍いゼルでも俺が何をしようとしたのか分かったんだろう。
慌てて俺から身体を離した。
「ダンゴより、お前が食べたい」
俺はもう一度、今度は身体ごとゼルを抱きしめた。
「なっ!?ちょっ、こら!スコール!オレは月見に来たんだぞ!」
「だったら、俺を見てろよ・・・俺は月なんだろう?」
いつものようにゼルを組み敷いて口づける。
「・・・ばか・・・月は2コもいらないんだよ・・・」
ゼルに触れた指先の熱が俺に伝わる。
そのまま引き寄せられるように躰を重ねた。
綺麗な月夜に 甘い蜜月・・・。