・・・なんで、こいつはここにいるんだろう?
「お前、卵の割り方も知らないのかよ」
突然、家にやってきて料理を始めた幸作に言われた言葉。
・・・なんで、こいつはボクのために料理を作ってくれているんだろう?
「料理、しないから」
「お前の母さん、料理上手そうだもんな」
ママの料理は美味しい・・・。
だけど、温かいと思ったことなんて・・・なかった。
「・・・うん・・・美味しいよ・・・」
「だろうなぁ。でも、俺が作ったのも美味いんだぜ」
「うん。美味しそうだね!」
・・・なんで、ボクは、こんなに幸せだと思うんだろう?
「・・・幸作は、なんで、色々してくれるの?」
「そりゃ・・・父ちゃんから言われてるし・・・それに・・・」
「それに?」
「友達だろ?」
「・・・とも・・・だち?」
そんな言葉・・・聞けるなんて・・・夢みたいだった。
「幸作・・・ありがとう」
「そんなかしこまるなよ。照れるだろぉ〜。それより、食うぞ。冷めちまう」
「うん!」
・・・幸せなんて・・・ずっと、忘れていた・・・。
こんな、当たり前なこと・・・忘れてた・・・。
「ボク、ずっと、幸作のこと好きでいるよ」
「なんだよ、愛の告白かよ〜(笑)」
「幸作といると、幸せになれそうな気がするんだ」
「・・・ま、なんたって、俺は“「幸」せを「作」る男”だからな!仕方ないから幸せにしてやるよ!」
笑うこと。
怒ること。
泣くこと。
愛すること。
ボクが忘れていたことを、幸作は思い出させてくれる。
それに・・・ボクの知らないことを教えてくれる。
「じゃあ、卵の割り方、教えてよ」
そして、今度は、ボクが幸作に料理を作ってあげるんだ。
ボクが幸せになれる方法。