恐々と触れる
俺達の身体を取り戻した。 俺の手足は無事に戻った。 けど、アルの身体は…あの日のまま…10歳の姿を成していた。 アルは気にしてないと言う。 だけど、本当に…?
「なあ、アル」
ボク達の身体を取り戻した。 ボクは、あの日の…10歳のままの姿だけど、それでも構わない。 兄さんの手足は無事に戻ってきた。 それだけで、構わない。 だから、兄さんが気にすることなんて何もないよ。 ボク達の身体は戻ってきたんだから。
「ねえ、兄さん」
どうしても、言えない。
「なあ」
こんなこと、言えるはずがない。
「なんだよ?」
どんな顔で、言えばいい?
「…………」
触れたい…なんて。
「……寒く、ないか?」
きっかけ。
「…………少し…寒い」
きっかけ。
「………」
本当は、言葉なんて、要らない。
伸ばした腕が、互いに絡まり。
その肌に。
その右腕に。
恐々と、触れる。
うわぁ…こんなの豆じゃねえ!(笑) 豆はもっとガツンと逝け! …もっと精進します。 20040205 |