「そんなのだめだよ…」
ん?
…タケルの声か?
薄く目を開けても、部屋の中は真っ暗。
まだ夜中…か。
「だって…ここ、お兄ちゃんちなんだよ…」
岳は…電話中らしいな。
「そんなこと言わな、やぁ…だめぇ」
岳っ!?
「お願い…待って…部屋、移動するから」
移動って、岳…お前、電話で何してるんだ!?
そういえば、あのケータイ、最近、持ったみたいだけどいつ買ったんだ?
岳、お兄ちゃんには言えないことなのか!?
岳はリビングに移動して、なおも電話中。
相手…誰なんだよ。
普通、電話であんな声、出さないだろう!
…気になるじゃないか。
ここはやっぱり、兄として真実を追究する必要があるだろう。
「明日、泊まりに行くって言ってるのに…」
泊まりっ?
誰の家に行くって言うんだ!?
「ホントにワガママなんだから」
…岳よりワガママ…?
「ひどぉ〜い!ボク、ワガママじゃないもん!」
やっぱり自覚、ないんだな。
「え…や、イヤに決まってるでしょ!」
岳!?
イヤってなにがっ!?
「…だって…そんなの…ボク…」
なんで、そんなに頬を赤らめるんだ!?
「!!分かってるなら言わないでよっ!」
誰なんだ!?
岳、誰と話してるんだ!?
「…うん…」
そんな表情、お兄ちゃん、見たことないぞ!?
「うん。ボクも…賢が好き」
けんがすき?
けん…ケン…一乗寺賢か!?
しかも好きって…岳ぅ〜っ!?
俺はそんなの許した覚えないぞ!!
「?…それって…っ!!」
おい、ちょっと待てっ!!
アイツ、岳に何言ったんだ!?
「ほんと…勝手なんだから」
そう言いながら、なんでそんなに幸せそうに微笑むんだ?
なんで、切れたケータイに愛しそうにキスなんてするんだ?
教えてくれ〜〜岳〜〜!
じつわ、賢と岳の会話を盗聴したテープを入手しました(萌)
聴きたい方はコチラから。
だけど、全然たいしたものじゃないですけどね。
(C) 20000907 志月深結