「チョコモン…」
「…きっと、また会えるよ」
ふいに背中からかけられた声に振り向く。
印象的な笑顔を浮かべて、僕の隣りに座る。
「…岳…」
彼のことは、大輔から色々聞いていた。
3年前も"選ばれし子供"だったとか。
天然微少年だとか…(笑)
でも、大輔がとても嬉しそうに話すから、聞いている僕も嬉しくなった。
「デジモンは、生まれ変わるから…」
その横顔が少し淋しそうな笑顔に変わる。
彼の視線の先には、テリアモンと遊んでるパタモンの姿。
「…君にも…こんなことが…?」
言った後に"しまった"と後悔した。
「ボクは…無力な子供だったんだ…」
岳は僕を見つめたまま、作りものの笑顔で笑った。
「エンジェモンが消えていくのを…ただ、見ていることしか出来なかった」
岳が淡々と言葉をつむいでいく。
「傷付いた大きな翼で…みんなを…デジタルワールドを守るために」
どこか、他人事のように…。
「エンジェモンが…」
だけど、僕はその笑顔をキレイだと思った。
その笑顔は、彼の強さ。
泣くのを必死で我慢して、それを笑顔に変えたんだ。
きっと、長い時間が必要だったはず。
でも、岳は自分の弱さを克服した。
だって、守るべき人を守ったのに、その人が泣いてしまったら、エンジェモンは悲しむ。
「…だから、きっと、また会えるよ」
…再び、笑顔で会えるように…。
そう信じて…。
「ありがとう…そうだね。それに、僕には…テリアモンもいる」
チョコモンも…僕を守るために…。
「…うん」
今度は、本当の笑顔で笑ってくれた。
「やっぱり、君は笑顔の方が素敵だね」
僕もつられて笑顔になる。
「…"I close to you, for yourself."」
「え…どういう意味?」
キョトンとした瞳で僕を見つめる。
「"大好きだよ"ってこと♪」
「ウソ。それぐらいボクにもわかるもん」
拗ねて膨らんだ岳の頬を指でつついてみる。
「分かるの?じゃあ、言ってみて?」
「"I lov"…なんで言わなきゃいけないのっ!?」
急に赤く染まる頬。
「クス。可愛い、岳」
僕は笑いながら、岳の口唇にキスをする。
「!?ウォレスゥ〜!!」
岳に怒られる前にボクはテリアモン達の所に走り出す。
「"I LOVE YOU!"」
走りながら、岳に投げキスを送る。
岳は"も〜"なんて言いながらも笑ってる。
こんな幸せが、ずっと続くように…。
I close to you, for yourself.
君のために、僕はずっと傍にいるよ。
Don't leave me.
だから、僕を一人にしないで。
Stand by me.
だから、僕の傍にいて。
I love you....
君が、大好きだから…。
(C) 20000814 志月深結