―PP―PP―
「ん…これ、岳のじゃん…」
岳のDターミナルがメールを受け取る。
今、岳は先生に呼ばれてて職員室。
「…誰からだ?」
いけないことだと思ってても、どうせメールを送ってくる人間は限られてるんだ。
「……ちょ…これ…岳ーーーーーっ!!!!」
【LOVE MAIL】
「なに?大輔クン、大きな声出して?」
職員室から帰ってきた岳と、多分、廊下で出会ったんだろう京達が姿を見せる。
「おま、これ、なんで!?」
俺はまるっきり話が見えなくて岳に詰め寄る。
「え?あ〜ボクのDターミナル。勝手に見たの?」
「そーじゃなくて!なんでウォレスがお前にメール送ってくんだよ?」
「ウォレスって。あのアメリカで会った子?元気してるの〜?」
京が興味深そうに岳に聞く。
「うん。メル友なんだよ」
岳も「ほら」なんて笑いながらメールを見せてる。
「メ、メル友って…」
そんなの、俺、聞いてないぞ?
「あの後、連絡先教えてって言われたから…みんなも聞かれたんでしょう?」
岳の様子から見て、ウォレスのヤツ、確信犯だ。
「僕達は聞かれてません。きっと岳さんだけです」
「え?そうなの?」
…この際、岳に罪はないとしよう。
ウォレス…京に気があるのかと思って安心してたのに…やっぱり、本命は岳だったのかっ!?
「おい、俺にも見せろよ!」
アイツ、どんなこと書いてんだよ?
「ダメ!大輔クン、さっき勝手に見たじゃないか」
「え、だって、あれは…」
岳の後ろでは、3人が楽しそうにメールを読んでる。
でも、見せても平気ってことは、たいした内容じゃないんだよな…。
「あれ?ねぇ、岳君。この最後の"×××"ってなに?どのメールにもあるけど…」
「あ、それ?ボクもわかんないんだ。ウォレスに聞いても教えてくれないんだもん」
岳とヒカリちゃんが不思議そうメールを見てる。
あぁ〜そんな、謎を残さないでくれ!
「あ、これはね、"バツ"じゃなくて"キス"って読むのよ」
…おい、京…なんか、怪しい雰囲気になってきたぞ…。
頼むから、それ以上、何も言うな。
「だから"キス・キス・キス"って読むの。親しい人への感謝の気持ちや、大好きな人へ"愛してます"って意味を伝える…えぇっ!?」
「あいつ、やっぱりぃ〜〜〜!!」
予感的中!
あぁぁ〜〜〜〜〜またライバルが〜〜〜(泣)
「岳!!今後、ウォレスからのメールは受け取るな!」
「そんなの無理だよぉ」
「じゃ、じゃあ、お前のDターミナルは俺が預かる!」
「え、ちょっと落ち着いてよ、大輔クン!?」
「ダメだったらダメだぁ〜〜!!」
神様!
俺には、幸せは来ないんですかぁ〜〜〜!?
(C) 20000812 志月深結