ベッドに抑えつけられた躰。
「どうして…こんなの…」
その瞳に浮かんでいるのは、恐怖の色。
「…お兄ちゃん…」
【アイノジュバク】
「やだ…ボク…」
両腕を縛られ、動きを封じられた躰。
「どうして?」
「だって…こんなの、違う…」
震える声。
震える躰。
「アイツとはしてるのに?」
口元に浮かぶのはわずかな微笑。
「!?」
どうしてと言わんばかりに見開かれる大きな碧眼。
「お前は、アイツが好きなのか?」
それを見下ろすのは同じ色の瞳。
「……」
頑なに閉じられた口唇。
「…言わなくてもいいさ。俺も何も言わない」
不意に、引き千切られた服。
「っ…」
逸らされる視線。
「…へぇ…」
白い肌に散った、赤い花びら。
「こんなことしてるんだ」
花びらが一つずつ塗り替えられていく。
「やだ…いや…」
身動きできない躰を弄ばれる。
「おにいちゃ…」
驚愕。
「どうして…」
失望。
「やめて…いや…」
恐怖。
「…こんなの…」
そして、絶望。
「いやぁぁ!」
感情が涙となって溢れ出す。
「どうして、泣くの?」
止まらない悲鳴。
「俺が怖い?」
止まらない震え。
「た…すけて…賢…」
それは届かない叫び。
「…け…ん…賢…」
何度も繰り返される…小さな叫び。
「…無駄だよ、岳」
そして、今…。
冷ややかな笑みが審判を下した。
もう、逃げられない。
アイノジュバク。