【ひあそび 2】
 
 
 

「よぉ、岳」

 岳の背中に声をかける。

「あ、太一さん!さっきはひどいよっ!」

 振り向くと同時に、予想していた言葉が降ってくる。

「ハハ。悪かったって・・・だいぶ、ヤマトにイジメられたみたいだな(笑)」

 岳の首筋に赤く咲いた花。

「え、あ…」

 バレバレだっての…。

「アイツも、変なトコで子供だよなぁ」

 親友の言葉を思い出す。

『岳には俺がいればいいんだよ』

 何言ってんだか…お前の方が岳がいなきゃダメなくせして(苦笑)

 笑いながら、いつも通りタバコをくわえる。

「太一さんのタバコ・…なんていうの?」

 興味深そうにタバコの箱を見つめてる。

 岳がそんなに無防備だから、ヤマトも色々と気を使うんだぞ?

 …コイツの場合、絶対に分かってないだろうけどな。

「コレ?"マルボロ"っていうんだ」

「お兄ちゃんのはね、"HOPE"って書いてあったよ」

「アイツ、ホープ吸ってんの?分かりやすいなぁ〜(笑)」

 思わず、口元からタバコを落としそうになっちまった。

「…どういう意味?」

「ん?"HOPE"の意味…岳は、まだ知らないのか?」

「うん…ねぇ、教えてよ、太一さん」

「教えてもいいけど、タダじゃ嫌だなぁ」

「!?ダメだよ!も、キスなんてしちゃダメだよ!」

 慌てて、自分の口唇を手で隠す岳が可愛い。

 さすがに、同じ手は使えないか(笑)

「そ?じゃあ、俺はキスしないから、岳からしてよ」

「え!?」

「俺がキスしちゃダメなんだろ?だから岳がして、な?」

 ものは言い様って、いい言葉だなぁ(笑)

「え、あ…」

「"HOPE"ねぇ…アイツ、ホント独占欲強いなぁー」

「…じゃ、じゃあ、目、閉じててください!」

 …単純すぎるぞ…岳…。

 とりあえず、言われた通りに目を閉じる。

「絶対に教えてくださいねっ!!」

 力強く言い切った後、ふわりと口唇が重なってきた。

 こんなだから、ヤマトが苦労すんだなぁ…。

 そう思いながら、岳を抱きしめて、触れ合った口唇をさらに深く繋げる。

「んっ!?」

 今更、気付いても遅いよ、岳。

「んー!んぅーーっ!!」

 そんな、精いっぱい抵抗されちゃ…俺、悪者か?

 仕様がないな…(苦笑)

「うー!んーっ!太一さんっ!?」

「"他人をあんまり信用するな"ってことだ(笑)」

 真っ赤な顔で、肩で息をする岳。

 ホント、庇護欲そそるなぁ…。

「そうそう、"HOPE"の意味だったな」

 ここらへんでやめとかないと、本当に嫌われちまう。

「…」

 今度はさすがに、警戒心たっぷりの眼差しを俺に向ける。

「もう、何もしないって」

 笑いながら両手を上げて、降参のポーズを取る。

「"HOPE"ってのは…お前だよ」

「え?」

「日本語で"希望"って意味なんだ」

「お兄ちゃん…」

「そ。よかったな、愛されてて」

「///…うん」

 ほら、もうさっきのことなんて忘れてるだろう?

 そんな満面の笑顔でさ。

 これだから、お前といると楽しいんだ。

 これからも親友サマに殺されない程度に、遊ばせてもらうかな。
 
 
 
 

 …やっぱり、こんなに楽しい"火遊び"は、しばらくやめられそうにないな。
 
 
 
 
 
 
 


ヤマタケベースの太岳(?)第2弾です。
お分かりでしょうが、深結の中で太一さんはかなり大人です(笑)
多分、選ばれし子供の中で一番大人かも。
イメージがそれで定着してしまいました!!
ヤマトとは親友です。
攻め同士の悪友って感じかな。
今回は、どうしてもヤマトの吸っているタバコはこれだ!!!
ってのが書きたくて、突発的に30分ぐらいで書きました(笑)
つーか、中学生はタバコを吸ってはいけません!!!

(C) 20000809 志月深結
 

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