【ひあそび】
「あれ…太一さん、これ」
太一さんのポケットから落ちたライターを拾う。
「あ、悪い!」
「…タバコ…吸うの?」
「みんなにはナイショな」
人差指を口に当てる仕草で笑う。
「うん」
そういえば、お兄ちゃんもボクがいない所では吸ってるみたい。
「…岳も吸ってみる?」
吸いかけのタバコを目の前に差し出された。
「え?」
タバコなんて…あんまり吸いたくないけど、でも、どんな味がするのかな?
お兄ちゃんは、なんでタバコ吸うのかな?
「…ううん…いいよ」
でも、やっぱり、いけないことだもん。
「そ?」
太一さんは、そのタバコを自分の口元に戻す。
「…岳は、まだ子供だもんな」
「ボク、子供じゃないよ!」
やっぱり、まだ子供扱いされてるのかな…。
「…そうだよな…子供はあんなことしないよな」
「あんなこと?」
「ヤマトと…キスしてた」
「!!!」
え…太一さん、知って…?
「安心しろよ。誰にも言わないからさ」
「…うん…」
「そんな顔すんなよ。俺が悪いみたいじゃないか」
太一さんは、ボクの頭を乱暴に撫でる。
「ごめんなさい、ボク…」
「…そうだな。じゃあ、これでいいよ」
「え?」
考えるより先に太一さんと口唇が重なってた。
「太…一さん?」
「ヘヘ、口止め料な!」
そう言って笑う太一さんの方が子供みたい。
「もぉー…」
そんな笑顔を見せられたら、なんだか怒る気にもなれないよ。
『岳ッ!!!!!』
へ!?
今の…声…。
「お…兄…ちゃん?」
今の…見られた?
「ヤベ。んじゃ、岳。後はヤマトにしてもらえ!」
「太一さんっ!?」
え?
えぇ?
太一さん、どこ行くのっ!?
「岳、さっきのはどういうことだ?」
さりげなく肩に置かれた手が怖いよ…。
「お兄ちゃん、怒ってないから言ってみな」
あぅ…お兄ちゃん、目が笑ってないよぉ…。
「え、あ…」
太一さんのバカァーーーーーッ!!!
太岳ってのは、難しかったですーー。
この話も書いてる途中で痛い系になりそうだったんですが、あえて我慢しました(苦笑)
しかも、最後ヤマタケ…逃げてますね(泣)
とりあえず、ひあそびが見つかってお仕置きされるタケルンって感じで。
(C) 20000808 志月深結