【キュー●ー3分クッキング】
みんなそれぞれ、自分のラーメンを作ろうと厨房にいた。
だが、岳だけは動こうとしない。
「岳、どうした?」
そんな岳に大輔が声をかける。
「ねえ、ラーメンってどうやって作るの?」
「へ?お前、作り方知らないのか?」
「…だって、料理なんてしたことないもん…」
岳は頬を赤らめて少し拗ねた表情で大輔を見る。
どうやら、バカにされたと思ったらしい。
「へえ…じゃあ、俺が教えてやるよ」
大輔的にはそんな顔で見つめられて、鼻血が出そうなのを必死で我慢する。
「ホント?大輔クン」
急にパァァと明るい笑顔を見せる岳。
思わず襲いたくなるような無防備な笑顔。
大輔は押し倒したくなる衝動を留め、"うぅ、耐えろ、俺!"と自分にしっかり言い聞かせてる。
「まずは湯を…(へへ、そうだ♪←悪戯心進化中)…まずは皿の中に麺とスープをいれてレンジで3分…」
何を思ったか、いきなりとんでもないことを言い出す大輔。
どうやら、大輔は…。
…只今、妄想中…
「え〜なんで?できないよぉ?」
「ちゃんと俺が教えた通りにやったのか?」
「うん」
「仕方ねえな。じゃあ…ほら、俺のと半分こな」
「でも、大輔クン…いいの?」
「そんなの気にすんなって」
「嬉しい…じゃあ、お礼に大輔クンは、ボクを食・べ・てv」 (エコー付き)
-ドガァ!バキィ!-
「「ちっがーーうっ!」」
が、大輔のめくるめくドリー夢は伊織と賢によってあっけなく撃沈された。
「いてて…なにすんだよ。てゆーか、てめーら、竹刀と鞭なんてどっから出しやがった!?」
「君が岳君に嘘を教えるからだろう!」
「って、岳さんも本気にしないでください!」
「え、違うの???」
岳はラーメン皿をレンジにいれる寸前だった。
この後、嘘がばれた大輔がどうなったか…それは、ご想像にお任せしましょう。
「いいかい。まずは沸騰したお湯で麺を茹でるんだ」
結局、賢と伊織が説明をしながら作ることになり、岳はそれを見つめていた。
「麺が茹であがったらスープの入った器にいれるんです」
「それから、自分の好きなトッピング…岳君は何がいい?」
「えと…ゆでたまご!」
少し待っても、その後が続いてこない。
「…だけでいいんですか?」
伊織は具の淋しいラーメンを見つめて聞いた。
「え?だけって……あ、ちゃあしゅう…だったっけ?」
岳はしばらく考えこんで、たどたどしく単語を発する。
「……もしかして、岳君…食材の名前、知らない?」
「………………」
真っ赤な顔で俯いてしまった岳。
返事をしなくても、それでは図星だと言ってるような物である。
「あ、いや。別に知らなくても支障はないからいいんだよ。ねぇ、伊織君」
「そっ、そうですよ!それに、スープと麺が良ければ具なんてなくても美味しいんですから!」
「………ホント?」
潤んだ大きな瞳で見上げられて、ニ人とも真っ赤になってしまう。
「あ、あぁ。じゃあ、とりあえず定番でいいね」
「うん」
「うわぁ♪」
賢と伊織のおかげで、あっという間に美味しそうなラーメンが出来あがった。
「ありがとう。賢クン。伊織クン」
極上の笑顔を浮かべる岳。
「いいんだよ、これぐらい」
「そうですよ」
その瞬間、見えない所で二人の意見が一致した。
中華=円卓。
つまり、岳の隣りに座れるのは二人。
なら、争う必要などないじゃないか、と。
…こんな所でジョグレス並に心を通わせてどうする?
「「そうだ。よかったら一緒に」」
そして、賢と伊織が思いきって誘おうとした言葉は絶妙なタイミングで飛んできたパタモンによって遮られた。
「あ、タケリュ〜ぼくも食べたい〜」
いつものように岳の頭に乗り、甘えた声を出す。
…まるで謀ったかのように…。
「それ美味そうだなぁ。大輔のあんまり美味そうじゃないんだよー」
今までパタモンと一緒にいたのか、ブイモンまでも岳に甘える。
「ん〜じゃあ、三人で食べようねv」
「わぁ〜い。ぼくねぼくね、グルグル(高石家でのナルトの通称)ちょうだい」
「俺、チャーシューな!」
岳と二匹は楽しそうに席に着いた。
もちろん、岳の隣りにはパタモンとブイモンの姿がある。
「「…………」」
取り残された二人…。
「なんだこのオチは?めずらしく順調かと思えば…この僕がデジモンごときに!?」
「許せません!僕が岳さんのために作ったラーメンなのに!なんで、デジモン達まで!?」
「…まあ、パタモンは岳君のパートナーだ…不本意だが許容範囲内だとしよう…だが、ブイモンは…」
「…パタモンならまだしも、あんな、あんな謎の生命体にまで!!」
「「これもみんな、飼主のせいだ…」」
…またもや、二人の意見は一致したらしい。
「もーとーみーやー(怒)」
「だーいーすーけーさーんー(怒)」」
「ちょ、ちょっと待てよ!俺は何もしてねえだろ!?文句があるならブイモンに…」
「うるさい!お前がしっかり躾てないからだろう!」
「そうです!僕達はブイモンに食べさせるためにラーメンを作ったわけじゃありませんっ!」
だから、その鞭と竹刀はどこから?
「覚悟はいいかい」
「僕は、大輔さんを見損ないました!」
「ま、ま、待ってくれぇぇぇーーー」
誰がこの二人の仲が悪いなんて言ったんだ!
そう思わずにはいられない大輔だった…。
「「問答無用!!!」」
-ドガァ!ベキィ!!バキッ!!!ボガッ!!!!-
「「……ごめんよ(だぎゃ)…大輔」」
そして、撃沈した大輔を見守る二匹のデジモン達の姿があった。
…その頃、後の2人は…
「ねえ、ヒカリちゃん。これどうかなぁ?」
「…うん。美味しい。京さんってお料理上手なんですね」
「ホント?よかったぁ」
「いいお嫁さんになれますよ」
「え…(//////)」
「ウフフv」