[ANOTHER WORLD]
「ねえ」
声が聞こえると同時に、読んでいた雑誌を取り上げられた。
そして、僕の顔を覗き込む君。
青空のように澄んだ瞳が僕を見つめる。
まるで映画のワンシーン。
「よそ見しないで…」
甘えた声で僕に口づけてくる君。
君以外、誰を見るっていうんだい。
よそ見してるのは君の方だろ?
「…ボクを抱きしめて」
君をこの腕に抱き寄せ、この現実にさよならしよう。
君と二人で、何処までも遠くへ。
お願い、夢なら醒めないで。
You can see the another world
「どうしたの?」
真夜中、突然に鳴り響くインターホン。
僕の部屋を訪れた君。
その瞳に零れ落ちそうな涙を浮かべて。
まるで深い海のようだね。
「泣かないで…」
アイツと何かあったのかい?
君はいつもそうだよね。
それでも僕は、君を優しく抱きしめる。
「…僕が抱いてあげる」
君をこの胸に抱き寄せ、逝けるところまで。
君と二人で何処までも遠くへ。
だから、君は泣かないで。
You don't need another world
「ボクが好きなのは君じゃない」
僕はどんなに傷ついてもいい。
君が側にいるなら。
「僕が愛してるのは君だけだ」
優しい顔をして。
笑った顔を見せて。
「それで、いいの?」
誰よりも遠くへ。
この空の向こうへ。
君を連れて行ってあげるよ。
「それで、いいよ」
だから、お願い。
さよならは言わないで。